あなたは株式投資をしているでしょうか?投資をしていたり、株取引をしている人でも「デイトレードってなんだか危険そう…」というイメージがあるかもしれません。「あんなギャンブルには手を出さない!」という人もいるでしょう。
私は元デイトレーダーで、今は個人投資家として投資を8年ほど続けています。その経験、結論から言うとデイトレーダーで成功している人はほとんどいません。
ただしどんなことでもそうですが、中には成功している方もいます。そしてデメリットだけじゃなく、学びもたくさんあるのがデイトレードです。
そんなデイトレードの楽しさ、辛さ、どんな人が向いているか、等についてご紹介します。
デイトレードと投資の違いとは?
まずはデイトレードが何なのか、説明していきます。
デイトレードとは、簡単に言うと「その日のうちに売買を終わらせる取引」のことです。
一般人、個人投資家と呼ばれる人がよく行う株の取引は、買ったその日に売ってしまうということは少なく、数日〜数年といった単位で株を保有することが多いと思います。
でもデイトレードは、買ったその日のうちに売買を終了させます。その日のうちというより、買ってから数秒、数分後には売ってしまうことも多いのです。
ただし短時間に大量の取引を行うことを「スキャルピング」と呼び、デイトレードと区別されることもあります。ここでは、とにかく日をまたがない取引をひっくるめてデイトレードと呼ぶことにします。
そしてデイトレードをする人を「デイトレーダー」と呼びます。大きな枠で「投資家」と呼ぶ方もいますが、デイトレーダーと投資家は別物です。
デイトレードはその日のうちに売買を終わらせるという点からも、企業の業績はそこまで重視されないトレーダーが多いようです。
どちらかというと、テクニカル分析(過去の値動きやトレンドから予測する)を重視して行うのがデイトレードです。
一方で投資は、どちらかというと企業の業績、将来性から利益が生まれると見込んでお金を出すことです。
何となく、雰囲気で、勢いで取引をするのは”ギャンブル”であり、トレードや投資とは違いますのでご注意ください。
またデイトレードというと「FX」もありますが、私は株のデイトレーダーだったため株について説明します。
デイトレードはどうやって稼ぐの?
デイトレードは非常に奥が深いものです。深すぎて、プロでも明確な答えがない場合もあります。
しかしデイトレードの稼ぎ方はシンプル。「安く買って高く売る」のが基本です(空売りは別ですが)
例えば株価1,000円の株を100株買うとき、100,000円かかります(わかりやすいように手数料等は無視します)
買った銘柄の株価が1,000円 →1,100円に上がり、そのときに売ると110,000で売れます。
すると差額の10,000がデイトレーダーの利益となるのです。
デイトレードの面白いところは、数秒で10,000円稼ぐこともざらにある、というところ。中には1日で数百万~数千万円稼ぐ人もいます(まれですが)。
有名なデイトレーダーであるオリバー・ベレスは、著書「デイトレード」の中でこう語っています。
「トレーディングは人間が最も興奮する行動の1つである」
「デイトレード」は、デイトレーダーにとって大切な全てを教えてくれるだけでなく、投資家にとっても非常に有用な名著なので、投資やトレードをされる方はぜひご一読ください!
デイトレ-ド マ-ケットで勝ち続けるための発想術/日経BP/オリバ-・ベレス
当然ながら、数秒で数万円〜数十万円稼げるということは、その逆もあるということ。
1日で数万円〜数十万円を失うこともざらにあります。
そしてほとんどのデイトレーダーは、数十万〜数百万円…人によっては数千万〜数億円…という損失を経験します。
この経験をいかに乗り越え、学び、反省し、全てを賭ける勢いでトレードに打ち込んだ人こそが、ほんの一握り成功しているデイトレーダーだと思います。
ちなみに有名なトレーダーのテスタさんは、2017年には8億円稼いだそうですが、そこに辿り着くまでは血の滲むような日々を過ごしていたそうです。
ちなみに、利益を得られるのは株が上がったときだけではないこと、知っていましたか?
「信用売り(空売り)」というシステムを使えば、株価が高いときに買って安いときに売り、その差額で儲けることも可能です(説明すると長くなるため割愛)。
株デイトレードのメリット
さてここからはメリットやデメリットに触れていこうと思います。デイトレードには、普通の株取引とは違うメリットがあります。
オーバーナイトリスク(日をまたぐ)がない
会社員が株取引をするときは、例えば夜に注文して、次の日の午前中に株を購入(約定)したり、あるいは朝イチに注文することが多いのではないでしょうか?
しかし日本が夜の間に、海外で「リーマンショック」みたいなことが起きるリスクがあります。すると翌朝の株価がドッカン下がってしまうのです。
このような日をまたぐリスクをオーバーナイトリスクといいますが、デイトレードは日をまたがないのでこのリスクを回避できます。
即利益になる
デイトレードはその日のうちに取引を終わらせるので、いい結果がすぐに利益となります。
つまり、取引をした日が毎日給料日のようなものです。
基本的に相場は土日祝が休み。平日は毎日給料が得られるようなイメージです。
少ない資金でも稼げる
デイトレードは短時間の取引を1日の間に何回も行います。そのため、少ない資金でもコツコツと利益を積み上げて稼ぐことができるのです。
デイトレートの場合「日計り(ひばかり)」という取引を行うことができます。通常、株の取引では1日に同じ銘柄を何度も取引する「回転売買」が禁止されていますが、日計りでは回転売買が可能です。
そのため、取引が活発な、値動きの大きい(流動性の高い)銘柄を何度も取引することで、少ない資金で稼ぐことも可能です。
ちなみにデイトレードをやるときの最低資金は30万円だと私は考えます。簡単に言うと、デイトレードに必須な信用取引を行うときに30万円必要だから。
これ以下でもできるのですが、基本的には余裕がないと危険です。
デイトレードは松井証券の1日信用取引がおすすめです。手数料が0円なので、何度も取引をするデイトレードには必須です。無料の口座開設はこちらから。
株デイトレードのデメリット
次に、デイトレードのデメリットに触れてみます。
お金の動きが激しいので心理的に負担になる
デイトレードは、値動きの大きい銘柄、時間帯に投資をすることで、効率よく稼ぐことが可能です。
一方で、みるみるうちに自分の利益が増えていったり、減っていきます。
とくに初心者のうちは、その激しい値動きに平静を保てなくなり、思いもよらぬ行動をしてしまう人も多いです。
「損を取り返そう」として余計に損をしていまう…というのはよくある話。
株価が下がってしまったら損が大きくなる前に売ってしまう「損切り(ロスカット)」が上手にできないと、デイトレードはうまくいきません。
自分の中でルールをしっかり決め(どこで購入して、どうなったら売る等)、機械的にそれを実行していけるような精神力が必要となってきます。
チャートをずっと見ていられる時間が必要
デイトレードは1日に何度も取引をすること、タイミングをしっかりと見計らって売買することが重要です。
そのため、朝9時〜15時の場中にチャートを見ていることが必要です。ずっと見ているということではないですが、例えば一番売買の活発な朝9時〜10時とか、サラリーマンだと普通に仕事をしている時間帯ですよね。
そのため、日中の仕事がある人には向かないです。
後述しますが、場中にチャートを眺めているだけではなく、その前後にしっかりと銘柄調査したりする時間も必要です。
純粋にトレードが好きな人じゃないと、続かないのではないでしょうか。
夜間の「いいニュース」の恩恵が受けれない
さきほど「オーバーナイトリスク」について説明しましたが、日をまたぐことはデメリットでもありメリットでもあります。
「◯◯社の今期増益が+40%」なんてニュースが出たりすると、翌朝その銘柄の株価が跳ね上がることはよくあります。
この恩恵が全く受けれないという意味ではないですが、デイトレードでは前日終値~翌日始め値の差分の利益は得られません。
デイトレーダーの1日
デイトレードをしている人はどんな生活をしているのでしょうか?いくつかの例を挙げてみます。
ぎりぎりで生活をしているトレーダー
これは過去の私の例です。
6:00 起床
8:00 銘柄のチェック
9:00 取引開始
11:30 昼食
12:30 取引再開
15:00 取引終了、本日の反省
18:00 夕食
20:00 銘柄チェック
23:00 就寝
朝は、8:00くらいから銘柄をチェックします。前日のニュース、前日取引した銘柄の反省、その日どのくらい動きがありそうかチェック、など。
私の場合、だいたい1時間近く準備をして、9:00からの取引に臨みます。
9:00に取引開始。1番美味しいのは9:00~9:30くらい。この間がとくに株価が動くからです。
私の場合、うまくいけば朝の10分で20,000円ほど稼げます。
逆を言うと、失敗すれば朝の10分でそれだけ損もします。
それから午前の取引が終わる11:30まで、狙える動きがあれば取引をします。
午前で30,000円くらい稼げれば、もう仕事を終えてもいいです。1日PCに張り付くのは大変ですから…
しかし現実は難しい。うまく稼げないときは、午後も取引します。本当に上手な人は1日中張り付いていないのですが、私は練習もかねて1日張り付くことが多かったです。
15:00に市場が締まるので、取引はそこで終わり。しかしそのあとは、反省やトレード手法の調査、銘柄の調査をしっかり行います。
正直、地味な調査やトライアンドエラーを繰り返してスキルが身につくのがデイトレードだと思います。
私のレベルでは、せいぜい月収30万円がいいところ。それも月によって上下し、安定しません。
ひどいときは月収がマイナスになることもあります。
原資を増やして取引すればもっと稼げる可能性が上がるのですが、リスクも増します。そのため私はこの程度でした。
※2023年現在、辛さと不安定な生活からデイトレーダーは辞めて、中長期の投資を行っています
トップクラスのトレーダー
かなり上手なトレーダーは、朝一だけ稼いで取引を終えてしまう人もいるようです。
朝9:00~の10分程度で数十万~数百万円稼いでしまえば、その日はもう仕事しなくても生きていけますよね。
ただ、1年やそこらの経験でここまでなれる人はまれです。
私も多くのデイトレーダーのブログを見ましたが、資産がマイナス100万円なんて人もいます。
カリスマトレーダーのテスタさんも、最初の1年は稼げず相当しんどかったようです。プレッシャーで毎朝嘔吐していたそう。
テスタさんは2年目で年収600万円を稼いだそうなので相当な腕前ですが、トレーダーのブログ500人分を分析したりとかなり勉強されたようです。
148 円福寺愛育園さんにリクエストの
バトミントンセットとバスケットボールをお送りしました。https://t.co/tLD2A4VstV #広がれ支援の輪 pic.twitter.com/RBBdpWoF6E— テスタ (@tesuta001) 2018年7月23日
色んなところに寄付されていて、素晴らしい方ですね!ちなみにテスタさんは2023年現在、デイトレードは行っていないようです。
株のデイトレーダーに向いているのはどんな人?
これまでお話しした通り、デイトレードは生半可な気持ちでは成功しません。
「毎朝30分で誰でも稼げる」「初心者でも簡単!」なんて言葉には騙されないようにしましょう。
デイトレードに向いているのは次のような人です。
デイトレードに向いている人
- 1日中パソコンに向かっていられる人
- 自分で決めたルールを守れる人
- 勉強家な人
- マメに分析を行える人
- 集中力がある人
- プレッシャーに強い人
デイトレードで最も重要なことは、続けられること。大損しても、好きで好きで続けられるような人だと思います。
そして「損切りができること」、「トレード手法や知識を貪欲に得られる人」だと思います。
それから株価は一瞬で動いてしまいます。知識と経験を元に、一瞬の勝負を逃さない人が、成功できるでしょう。
株デイトレーダーの将来性
株デイトレーダーは今後も稼げるのか?という問いに対しては、失敗して、しっかり学んで、それでも相場から離れず、コツを掴めば稼げるかもしれません。
ただし相場には、プロの投資家がごまんといます。それに最近では、プログラムが取引するパターンも主流になってきました。一瞬で連続した取引を実現してしまうプログラムと真っ向勝負していては、一般人に勝ち目はありません。
そのため、大口(プロ)投資家やプログラムの思考、流れを読むことができなければ、大損してしまう職業です。
知識がついてきたら、自分でプログラムを組んだり自動売買ツールを使うという手もあります。まだ発展途上ですが、これから技術が向上して、自分はほとんど動かずに収入を得ることも難しくなくなるかもしれません。
デイトレーダーは簡単ではありませんが、夢のある職業になりえるかもしれません。
デイトレードを始めるために必要な物
デイトレードを始める環境づくりは、お店を構えるほどの投資は必要ありません。しかし、ツールにお金をかければ、その分取引も有利に勧められます。
デイトレードで本気で稼ぎたいなら、私は最低限以下の準備をおすすめします。
デイトレードの準備で最低限必要なもの
Windows PC(CPU:core i5以上)
最低でも2画面
投資資金 100万円
証券口座(信用口座)
1年の株取引経験
インターネット光回線(有線)
デイトレードで使えるツールは、ほとんどがWindowsです。Macでも一部ありますが、Windowsをおすすめ。
デイトレードは一瞬で勝負が決まるもの。PCのSPECや回線速度も思いのほか大切です。
別に古いPCでも取引はできますが、本気でやるなら絶対にSPECも求めるべき。
PCの画面は、4画面、6画面もあるにこしたことはありません。ただし私は2画面でやっていました。厳密にいうと、2画面+iPad+スマホ。たぶんレアなケースですが、iPadでニュースをチェックしたりしていました。
なぜ画面が必要かというと、取引画面、各株価指数、チャート、リアルタイムのニュースなど様々な情報を確認する必要があるからです。
資金は必ず余裕資金で行いましょう。「最悪なくなってもいいお金」くらいの気持ちでやらないと、暮らしていけなくなりますから。
本気で学び取り組めるなら一攫千金も夢じゃないが、投資は自己責任で!!
ここまで書いておいてなんですが、私個人の意見としてはデイトレーダーはおすすめしません。どうしてもやるなら、余剰資金で趣味レベルで始めることをおすすめします。
株はしっかりと知識をつけた上で、中長期の投資をするのが一番資産を減らさない方法だと思います。
しかしながら株のデイトレーダーは、しっかり学び、ルールを徹底できるなら、会社員よりも稼げる可能性があります。波に乗れば自由を手にすることも可能です。
そして相場を学びたい人にはとても良い勉強の場となることでしょう。
くれぐれも絶対に「すぐに稼げる!」という言葉には踊らされないでください。そして投資は自己責任。最後は自分の判断で決めるようにしましょう。
デイトレードの前には株取引の経験も必要です。まずは株取引からという方は、初心者におすすめのSBI証券に無料の口座開設するところからはじめましょう。