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CADを使える設計者の年収1,000万円超えも?将来性は?

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私は設計者としてCADを使った仕事に20年ほど携わっています。結論から言うと、設計者は一般的な会社員より平均年収が高いことが多く、サラリーマンでも30代で年収1000万円に到達する人もいます。ただCADを使った仕事と言っても様々。設計者、CADオペレーター、正社員か派遣社員かでも違ってきます。

この記事では、

・CADを使える設計者の収入はすごいの?

・CADの仕事ってどういうことをするの?

・CAD設計の仕事は将来性あるの?

という疑問について書いています。ただし私は「機械」関連の設計者なので、「建築」の方はまた状況が違うと思います。あくまで何らかの製品の設計者、という視点でご覧ください。

CADを使った設計者の年収はどのくらい?

私は以前、大手自動車メーカーの設計者でした。その後医療機器メーカー、そして電気機器メーカーに転職したのですが、そこで社内外のたくさんの方から収入の情報を入手しました。

結論から言うと、CADを使える設計者の年収は一般的な平均よりも3割増しくらいになることが多いです。

ちなみに2023年現在私が在籍している企業は電気関係で上場企業ではあるものの、給与は特別高い方ではありません。

この、とある電気製品を製作する会社(日経225銘柄)の、30代「設計者:一般社員」の給与は、約650万円(残業約20~30時間/月)です。

いわゆる「係長」に上がった人は、30代で約750万円。

あくまで平均的な数字なので、30代後半の係長クラスでランクが上がっていく人は、1000万円近い給与をもらっている人もいます。

ちなみに「会社四季報 業界地図 2024年版」によると、40歳の全業界平均は621万円。

この数値は、あくまで国内上場企業のデータから作成されたものだそうで、国内の全ての企業の平均年収はもっと下がるはずです。

CADを使った設計業務が多いと思われる業界の40歳平均年収は以下の通り。

テレビ・白物・生活家電 725万円

自動車 670万円

建設機械 650万円

電子部品 634万円

工作機械 619万円

ただし会社四季報の平均年収は、設計者以外の年収もまとめられていますので、その前提で参考にする必要があります。

業界や会社によっても異なるため、ここからはいくつか例をいくつかあげてみたいと思います。

自動車メーカーの例 意外と高くないが平均より年収は高め

2023年現在、物価高や賃金上昇の問題などあるため、ここでお話する過去のデータはあくまで参考ということをご理解ください。

私は運良く高卒で大手自動車会社に入社し設計者になれたレアケースなのですが、2004年時点での高卒1年目の設計者年収がおよそ450万円。

ただしこのときは残業を月30時間していました。

ちなみに大卒1年目は年収およそ500万円、院卒1年目だと550万円くらい。

高卒で入社4年目になると同い年の大卒が入社してきます。しかしいくら頑張っても、同い年の大卒初任給より少し低かったのです…

「チクショウ、不公平だ!」と思いながらがむしゃらに頑張っていました。

高卒で10年務めた28歳のころ(2010年頃の話)には、残業月平均20時間ほどで年収約600万円。

この頃になってくると、学歴は関係なくなってきます。時代の流れもあり、最近ではかなり成果給を取り入れている企業も増えてきたこともあります。

2022年時点の30歳男性の平均年収は400~450万円と言われているので、私の例から考えても大手自動車会社のCAD設計者の給与は高い水準といえます。

30歳に入り昇給していくと、早い人では35歳までに年収1000万に到達する人も。

 

ただし設計者出身でも役職になってくると、CADを使った仕事というのは減っていきます。

マネジメントが増えていきますが、課長クラスになると企業によっては年俸制となり、年収1000~1500万くらい。

中途採用の場合でも、最初はだいたい年齢によって収入が決まるので、プロパー社員(中途じゃない人)と同等の金額がもらえることが多いです。スキルがあればもちろん早く昇給します。

大手の自動車企業なら、概ね同じ水準と言えるでしょう。

★参考 会社四季報業界地図2024年データ(平均年収/年齢)

・トヨタ自動車 895万円/40.6歳

・日産自動車 850万円/41.7歳

・ホンダ 822万円/44.7歳

医療機器メーカーの例 幅が広いが総じて高収入

私は29歳で中堅規模(従業員600名ほど)の医療機器メーカーに転職しました。

中堅規模でしたが、とある医療機器でシェアトップの会社。

そのときの年収は残業平均月25時間ほどで約600万円。大手自動車メーカーと同水準でした。

こちらも役職が上がるにつれてCADの設計業務は減っていきます。

係長になると年収約800万円、課長で年収約900万円、部長では年収1000万円を超えます。

中堅企業でこのレベルで、大手医療機器メーカーになると、更に高年収が見込めるようです。

★参考 会社四季報業界地図2024年データ(平均年収/年齢)

オリンパス 965万円/42.9歳

日本光電 899万円/42.0歳

テルモ 765万円/40.4歳

 

ちなみに私が中途社員として転職したとき、その会社の同世代の人よりも高い年収で入社することができました。

これは転職エージェントに相談し、エージェントを通じて収入の交渉をしてもらえたからです。

転職エージェントは転職までの全面的なサポートを無料で行ってくれます。利用しない理由はないでしょう。

概ね企業規模に比例して給与水準が上がる

”ものづくり”の製造業で、CADを使った仕事となると概ね似たような給与水準、もしくは平均よりかなり高収入になることがわかりました。

そしてCAD設計者は、一般的なサラリーマンの平均年収よりも給与水準は高めです。

しかし大企業と中堅企業では、役職が付くあたりから大きく収入の差を感じます。

例えば中小・中堅企業で37歳で係長になった人と、大企業で32歳で昇格した人がだいたい同じ給与水準なんてことも。

ちなみに”大企業で32歳で昇格”といっても、いわゆる「係長」とは少々違う意味合いのことがあります。

企業によって呼び名は違いますが、チーフだったりエキスパートだったり上級スタッフだったり…

中小企業で係長になるより、大企業で昇格する方が簡単だったりするので、この点では大企業がおすすめ。

 

ただし、人数が少ない中小企業では、20代のうちから役職(係長)になれることも。その場合は、その役職をアピールして転職し、転職先でいきなり良いポジションからスタートするという術もあります。

一例として、あなたが中小企業Aで29歳で係長になったとします。その時の年収が600万円。

転職活動で大企業Bの面接を受ける際に、「係長であったこと」「希望年収は700万円」という条件を出したとします。

そしてめでたく大企業Bに転職したあなたは、いきなり「係長クラスの役職」「年収700万円」が手に入ります。

大企業において係長クラスのポジションに昇格する場合、昇格試験がある会社も未だ少なくありません。

上記のやり方が成功すると、入社後の昇格試験をパスすることができるのです。あくまで会社により、ですが、これが出来るか出来ないかで昇格(=年収大幅アップ)するタイミングが3年〜5年とか早められる可能性も高いです。

個人的には”役職”が付いてから転職をするというやり方をおすすめします!

設計者とCADオペレーターの違い

製品の設計者はコンセプト(構想)段階から携わり、責任をもって製品をつくっていきます。

対してCADオペレーターは、設計者の指示を元に図面や3Dデータをつくるスペシャリスト。図面やデータの責任は負っても、製品自体の責任は負わないことがほとんどです。

責任の重さと比例し、CADオペレーターより設計者の方が収入が高い傾向です。

しかし今では少なくなってきましたが、正社員のCADオペレーターもいます。そういう人は、昇給は遅めですが、一般的なサラリーマンよりも収入は高めです。

正社員じゃない場合は?

CADを使う仕事は、正社員じゃない人が就く場合も多くあります。私がいた企業では、派遣社員でも設計者をしていました。

2023年現在でも、様々な企業で派遣社員の設計者は健在のようです。

派遣社員の場合は設計者とCADオペレーターで分かれますが、こちらも設計者の方が昇給が早い傾向です。

しかし派遣社員だと正社員より給与が低めのことが多いです。派遣先ではなく、派遣会社の給与形態になるからです。

そのため、

「正社員と同じ仕事をしているのに、給与が低いなんて不公平だ!」

という声が実際に多くありました。

ただし近年は労働環境が見直され、派遣社員と正社員の業務内容を責任の重さでしっかり分けるというのが、特に大手企業から進んできたようです。

責任の重さと給与の高さを取るか、給与は低いけど責任が少ない方がいいのか、どちらを選ぶかは人それぞれ、ということだと思います。

CADを使う設計者の仕事とは?

現代社会ではCADは必須のツールになっています。そもそもCADとはComputer Aided Designの略で、コンピュータを使った設計支援ツールのこと。

昔は全て手で描いていた図面をコンピュータで作り、更には3Dデータまで簡単に作れるようになりました。

具体的にCADを使った設計者の仕事というのを、説明していきます。

設計者の種類

ここで言うCADを使った設計者は、何かしらのものづくりに携わる人のことです。

”ものづくり“があるところには”設計者“が必ず存在します。

設計者と言っても、業界によって様々。自動車、医療機器、航空機、家電、最近ではアパレル業界でもCADを使った設計が一般的になっています。

つまり、ものづくりの数だけ設計者が存在するのです。

設計業務の流れ

ものづくりは種類こそ違えど、流れはそこまで大きく変わりません。設計業務の大まかな流れは次のようになります。

設計業務の一般的な流れ

1、コンセプト(構想)を考える

2、基本設計をする

3、図面、3Dモデルをつくる

4、物をつくる、施工する

1、のコンセプトを考えるのは、デザイナーだったり、企画メンバーと一緒に行います。場合によっては設計者が入らないことも。

2、の基本設計は、設計者のキモとも言える仕事。コンセプトやデザインを元に、理想的な形になるよう構造・システム・電気設計等をしていきます。

家の土台がしっかりしていないと欠陥住宅になってしまうように、基本設計は製品の基礎となるとても大切な部分です。

3、基本設計ができたら、その設計を元に図面や3Dモデルをつくります。この作業は設計者が行うこともありますが、CADオペレーターに任せることも多いです。

CADというのはあくまでツールなので、設計者はそれ以外の調整業務や新技術の開発に時間を取るパターンが多くなります。

4、図面や3Dデータができたら、実際に物を作ります。大手なら発注やメーカーとの調整を別部署が行いますが、中小、中堅企業だと設計者が発注まで行う場合もあります。

業界によっては一発勝負で物を作ったり施工します。大量生産する業界なら、試作品を作るのが一般的(”試作レス”といって試作を作らないよう方向転換する企業もありますが、結構失敗談を聞きます)。

このように設計者というのは、ものづくりの上流から下流まで携わる人なのです。

設計者は「何でも屋さん」、コミュニケーション能力が求められる

設計者はネガティブな言い方をすると「何でも屋さん」です。

デザイン、設計、コスト試算、メーカーとの打ち合わせ、試作品作製などなど…

その間、設計者は社内外のたくさんの人と関わることになるので、高いコミュニケーション能力が求められるのです。

しかしながら、コミュニケーションが苦手という人もいます。

コミュニケーションが苦手な人は設計者の道を長く歩むことになり、コミュニケーションが取れる人ほど昇格していくのが一般的。

正直昇格したいなら、CADをうまく使えたり知識が豊富、よりもコミュニケーションをとってうまく調整できる人が優遇されます。

逆の言い方をすると、コミュニケーションが苦手でもCAD設計者としてならやっていくことはできます。

ただし2023年現在では、「ジョブ型雇用」もトレンドになってきました。特定のスキルを持った人を採用して、スペシャリストとして仕事をしてもらう形です。

ジョブ型により、なんでもやります!という業務体系ではなく「私はこれをやります」という仕事のやり方になる会社も増えてくるかもしれません。

設計者って辛い?

設計者はとても夢のある仕事です。反面、何でも屋なので楽しくないこともやらなくてはなりません。

設計の仕事は納期が決まっていることがほとんど。結果として図面や3Dデータをアウトプット(完成させて提出する)しなくてはなりません。

仕事のやり方が決まり切っていないことも多く、クリエイティブさが求められます。

アイディアが出ず、人にも相談できずに納期に追われていると、精神的に苦しくなります。

また、設計開発はチーム制で行う場合も多く、たくさんの人に関わります。当然、優しい人もいれば厳しい人も。

最近こそパワハラやモラハラは処罰の対象になってきましたが、チームによっては辛いこともあるでしょう。

私も上司に厳しく当たられたり、理不尽なことを言われ辛い時期がありました。しかし人間関係はどんな仕事でも同じ。当たり外れはあります。

それでも満足のいく製品が世の中に出ると、とても嬉しい気持ちや誇らしい気持ちになります。

「この車は俺が作ったんだ!」と自慢したい気持ちにもなりますよ(笑)

ここが設計の醍醐味だと思います。

CAD設計者には資格が必要?どんな人が向いているのか

ぶっちゃけ資格は無くても設計者になれます。先ほど書いたように、一番大事なのはコミュニケーション能力。

次に大切なのは柔軟な思考です。

私自身、高卒で入社したときにはCADなんて触ったこともありませんでした。

それでも社内でイチから覚え、製品を設計できるまでになったのです。

いろんなことに興味を持てる人の方が向いていると言えます。

CADオペレーターを目指すなら、CADの検定で資格と取ることも1つの手段です。

しかしCADのスキルは資格よりも経験の方が大切。資格がなくても挑戦できる環境があれば、実績をつくる方がおすすめです。

ちなみにCADっていろんな種類がある

CAD、CAD言ってますが、CADの中にもいろんな種類があります。

自動車や輸送機器業界でよく使われるCATIA(キャティア)、製造業でよく使われるSolidWorks(ソリッドワークス)、建築業界で用いられるAutoCAD(オートキャド)などなど。

これらは制作したメーカーが違い、導入コストもピンキリ。無料で使えるJw-cad(ジェイダブリューキャド)というのもあれば、CATIAは数百万円もします。

しかしどれか1つCADを使いこなせるようになれば、他のCADも覚えやすくなります。

私はCATIA V4というものから覚えてその後CATIA V5にバージョンが移行し、転職してSolidWorksを覚えました。

ちなみにCATIA V4とV5ではバージョンが違うだけですが全くと言っていいほど違うツールです。それでも、割とすぐに覚えられました。

言ってしまえば「所詮ツール」なので、製図知識や空間認識能力が養われれば問題ありません。

CADを使った仕事は将来性はあるか?

昔は手作業だった製図も、現代ではCADに置き換わりました。大手企業では、もはや図面も廃止して3Dモデルだけになった企業もあります。

それだけ、CADの仕事は需要があります。

私の感覚としては、少なくとも日本では今後十数年は需要があると考えられます。AIが発達してきても、ゼロから創造してものづくりするのはまだまだ人間にしかできないからです。

設計者とは、ただ計算できれば務まるかというとそうでもありません。特に外観デザインに関わるような物を設計する場合は、美的センスや感覚的な能力も必要になってきます。

そのため、まだ人間の”センス”が必要とされる余地が残っていると考えられます。

2023年現在AIはものすごい勢いで成長しており、企業によっては自動設計ツールも取り入れているのは事実。ただしそのようなツールを扱えるのは一部大手企業や先進的なベンチャーだったりするので、まだまだ発展途上。中小企業や中堅企業ではCADが使える人材は引く手数多です。

実際私も、高卒だったのに採用基準が「大卒以上」の医療機器メーカーに転職できました。設計者というのは、求められている人材です。

ただし理解しておきたいのは、CADはあくまでツール。CADだけで一生食べていけるという考えは捨てましょう。

CADを使う設計者は多くの人が触れる製品をつくれる夢のある仕事!

CADを使う設計者は数多くありますが、共通することは世の中の人が触れる製品をつくるとても大事な職業です。

自分がつくった物が世に出たときは、この上ない喜び。

私は自分の設計した自動車が道を走っているのを見たり、医療機器で助かる人がいると考えると、とても誇らしい気持ちになります。

CADを使った仕事はやる気さえあれば誰でもできる職業なので、気になったあなたはまずは転職エージェントに相談してみましょう!

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