前回「地方転職に熱視線!移住でワークライフバランスを向上させよう!」の記事で、地方転職のメリット、デメリットについてお伝えしました。今回は具体的に、バランスのとれたおすすめの地方転職・移住先をご紹介します!
おすすめ地方転職先の条件
北海道、沖縄など、旅行で行きたい場所はたくさんあります。
しかし大雪が積もったり、台風がすごかったり、職が少ないなど、実際住むとなったらなかなかハードルが高い場所も。
そこで今回おすすめする地方移住先の選定条件としては、
1、 災害リスクが比較的低い
2、自然と街のバランスが良い
3、就職先もそれなりにある
4、独自の良い文化がある
といった項目で選びました。
そして、私が実際に足を運んだり、住んだり、調査をした土地でもあります。
今回九州地方が入っていないですが、これは私の「リアル」情報のため。九州まで調査はできなかっただけなのでご承知おきください。
それではおすすめできる地方の転職移住先をご紹介します!
おすすめ転職移住先1、宮城県(仙台市周辺)
東北随一の都市であり、政令指定都市である仙台のある宮城県。
仙台市はかなり発達した都市なのですが、実はこの辺りは緑がとても多くて綺麗な都市でもあるんです。
市内には、伊達政宗像があり仙台を一望できる青葉山公園、こちらも市街を見渡せたりお散歩に良い大年寺山公園、子どもがのびのび遊べる七北田公園など、広い・景色良し・整備良しの公園がたくさん!
ショッピングモール、医療機関、交通機関も申し分ないほど揃っているので、市内寄りに住むと地方移住というよりは美しいシティライフ的な感じ。
しかし市内からでも車で30分もいけば、太平洋の海岸に出れるのです。日本三景の松島には、仙台駅からだと鉄道や車で1時間もかかりません。
仙台市の海沿いにある、深沼海水浴場
山に向かえば、1時間以内の範囲にスキー場も。ショッピング、レジャー、自然散策、なんでも楽しめてしまうんです!
個人的には・・・海外のような雰囲気で試飲もできる、ニッカウヰスキーの蒸留所も大好き 笑
そして宮城県の株式会社数はおよそ31,000社、これは全国では14位の数で、東北ではトップ。
有名な大手企業はさほど多くない印象ですが、アイリスオーヤマ、東北電力などがあります。
しかしながら会社数が多いので、仕事を選べない!ということはそうそうないでしょう。
◆宮城県の上場企業(施設概要/職種/上場区分)
東北電力(本社/電力ガス/東証一部)
ユアテック (本社/建設/東証一部)
やまや(本社/小売/東証一部)
NTTデータ東北(本社/情報通信/非上場)
アイリスオーヤマ(本社/その他製造/非上場)
など
それから東北といえば、雪がすごいイメージないですか?
実は東北でも太平洋側はそんなに雪が積もらないです。とくに仙台市周辺は、積雪はあっても5cmとかそのくらいのレベルで、ほとんど積もりません。
雪が降らない地域の方からすると「雪積もるんじゃん!」と思うかもしれませんが…雪国出身者からすると「雪は降らない」レベル。
北関東の平野部と大差ないイメージです。
また、東北地方は晴天が少ないのですか、宮城県は概ね年間220日前後は晴天だそう。
これは全国でいうと中間くらいですが、最下位の秋田県は年間160日に満たない程度なので、それなりに天気に恵まれるといえます。
災害について。東日本大震災では、宮城県海沿いも大変な被害を受けました。
私の友人の家が仙台市に隣接する名取市にありますが、海から1kmくらいの場所にも津波の水が流れてきたそうです。
仙台市としては、非常に強い地盤の上に市街地を形成していて地震に強い、というのが推しで、地震の発生確率は低くはないものの、被害の少なさや復旧の早さは自信をもっているようです。
ただ、自信があるだけでは困りますよね。下の図は、国土交通省がまとめた災害リスクエリアに、私が加筆したものです。
都道府県別の災害リスクエリアに居住する人口について 国土交通省
少しわかりづらいのですが、仙台市広域は地震や水災の発生リスクが少々高め(図のピンク色になっている部分)。
赤丸の部分は松島湾と呼ばれる湾になっているのですが、ここは東日本大震災でも大きな津波被害がなかったそうです。
仙台市内の津波ハザードマップによると、海岸から概ね3kmエリアは「津波避難エリア」に指定されています。
こういう意味では、仙台市の北側にある「多賀城(たがじょう)市」寄りが、より災害リスクが低そうです。
そう、「仙台市周辺」というのはこういうこと。ちなみに多賀城市から仙台市への通勤率は40%越えで、ベッドタウンとされています。
多賀城市は発展も著しいエリアで、これまた自然や公園が多く子育てにも向いている市です。
以上、諸説あり必ずしも安全とは言えませんが、災害リスクを下げるためにはこのようにハザードマップなどを確認して、住む場所をチェックすることも大事ですね。
美しい杜の都・仙台市市街地の様子(仙台国際ハーフマラソンのとき)
さいごに宮城県は食の宝庫です。牛タンや笹かまぼこ、喜久福の大福、萩の月、榮太郎の生どら・・・
サバ、フカヒレ、カキなど、美味しい海の幸もたくさん。地酒も美味しい!美味しい物を挙げるときりがないのが仙台・宮城です!
利便性、気候、発展した街と綺麗な自然、文化に食。語り尽くせないほどの魅力がある、東北に来たことが無い人はまず足を運んでほしいところです!
おすすめ転職移住先2、長野県(中信エリア)
松本市内(南松本)の様子
長野県中央部、松本市、安曇野市、塩尻市などの中信と呼ばれるエリアは、晴天が多く、災害も少なく、美しい自然と街が揃った魅力ある場所。
長野県に縁の無い人にとっては、大雪のイメージないですか?
実は松本市周辺は意外と積雪が少なく、カラッといていて過ごしやすいんです。(数十年前は30cm以上の積雪もあったそうですが、近年は積もらなくなったそう)
標高が500m以上あり、実は紫外線が日本トップクラスに強い場所。冬の気温はマイナス10℃を下回ることもありますが、晴天時は冬でも暖かく感じるくらい!(朝晩の気温差はすごい)
牛伏寺断層という地層の地震確率は高めですが、地盤が強く川から離れた土地を選べば、災害リスクは低いといえます。
おまけにATフィールド(アルプス高い)と揶揄される謎のバリアによって?、台風も滅多に上陸しません。
2020年に上陸した台風では、長野市を中心に河川氾濫の被害が出てしまったのですが、松本市周辺はほぼ被害無し。
グルメについて、正直魚介類はイマイチですが、ブドウ、リンゴをはじめとした果物、新鮮な野菜、蕎麦や山賊焼など美味しいものがたくさん!
河川はどこも日本有数の透明度で、雄大なアルプスも美しい。下の写真は、国道沿いのなんでも無い景色(梓川)を撮影しただけですが、河川の綺麗さが伝わるのではないでしょうか?
企業数は全国で19位、上場企業数は36もあります。上場企業だけでいうと、政令指定都市・仙台がある宮城県の21社より多いのです!
◆長野県の有名企業(施設概要/業種/上場区分)
セイコーエプソン(本社/電気/東証一部)
キッセイ薬品工業(本社/医薬品/東証一部)
ホクト(本社/水産・農林/東証一部)
サンコー(本社/電気/東証二部)
星野リゾート(本社/サービス/非上場)
文化的には、世界的な画家である草間彌生さんの故郷であり、松本市美術館は草間弥生さん初め、様々な芸術家の作品があります。
美術館や博物館が至る所にあるのも中信地区の特徴。実は長野県は、人口10万人あたりの美術館数が全国2位だそうです!(1位は島根県)
国宝の松本城、上高地、美ヶ原など、世界に誇れる観光地もあるのが中信エリア。
長野県中信エリア、私も好んで住んでいるくらいですから、おすすめできます!
おすすめ転職移住先3、栃木県(県央〜県南)
宇都宮市市街地の様子
栃木県は魅力がない県として、常に最下位争いをしている県…いやいや、実はそんなことない魅力がある県なんです!
街あり、自然あり、都心アクセス良しでとても住みやすい地域なのが、特に栃木県中央部から県南部です。
まず、宇都宮〜小山市周辺は震災リスクが少ない。東日本大震災で、栃木県を流れる鬼怒川の東側は震度7を観測、壊滅状態の建物、停電などで被害は甚大でした。
しかし鬼怒川の橋を渡った西側は、ほぼ被害なし。聞いた話によると、西側は比較的地盤が強いのだそう。
夏にゲリラ豪雨と雷は多いですが、雪もほとんど降らないですし、たまに降る雪さえ我慢すればスタッドレスタイヤ無しでも過ごせます。
また、新幹線一本で都心までアクセスできるし、車で高速道路を走れば都心まで2時間弱(渋滞考慮せず)。
北は那須高原、西は日光や群馬の伊香保温泉、東は茨城の海岸と、色んな文化、観光地や自然にアクセスしやすいのも特徴。
宇都宮からなら、那須高原の大自然まで車で1〜2時間
宇都宮〜小山周辺は公園も多いですし、県を横断する鬼怒川でバーベキューしてる人も。広い関東平野の中にあるので、閉塞感もありません。
宇都宮といえば餃子ですが、何気にラーメン激戦区。小山〜宇都宮周辺はかなり美味しいお店が揃っているのです。
ご当地的なラーメンは少ないのですが、北は福島、南は東京から色々なラーメンが流れ込んでくるせいか、多種多様なラーメンが揃っています。
タイ料理、中華料理、インド料理なども、隠れた名店が多いのです。
餃子もいろんなサイズ、味があって面白いですよ
このごちゃ混ぜな文化が、もしかすると「魅力のない県」と映ってしまうのかもしれませんが、裏を返すと「色々とハイレベルなグルメを楽しめる」のが栃木の魅力だと思っています。
そして栃木県の企業。本社を構えている有名企業は多くないものの、ホンダ、花王、キヤノンなどの研究所、日産の工場など、かなり大規模な会社があります。
都心並の給与が貰えて、地価は高く無い。こんなところって栃木県以外にあるのか?と思うレベル。
栃木県の有名企業(施設概要/業種/上場区分)
コジマ(本社/家電/東証一部)
フライングガーデン(本社/飲食/JASDAQ)
東芝メディカルシステムズ(本社/電気/非上場)
本田技術研究所(研究施設/自動車/*東証一部)
花王(工場/日用品/*東証一部)
*親会社が東証一部
そしてなんと。日経DUAL×日本経済新聞の「共働き子育てしやすい街2020」では、利便性の高い東京都、神奈川、福岡などが上位を独占する中、宇都宮市は16位!
日経DUAL×日本経済新聞「共働き子育てしやすい街2020」
16位/151自治体 ということで、かなり上位ということがわかりますね。
これは教育の充実度、インフラ、ICTの普及なども考慮されていますので、やはり宇都宮は魅力的。
なぜか魅力が無く映ってしまいがちで、U字工事さんはじめ地元民もネタにするくらいの土地ですが、ポテンシャルの高い地域。
私はとてもお気に入りの土地です。
おすすめの転職移住先4、香川県(高松市周辺)
高松市街の様子。海沿いでも結構発展している。
香川県は、気候良し、食良し、景観良しでとても素敵な土地。
実は大東建託2020年「住み続けたい街・都道府県」ランキングにおいて、香川県はなんと1位に輝く魅力ある県なんです!
このランキングのアンケートは、実際そこに住んでいる人が「住み続けたい」と感じているということなので、「住んでみたい」以上の魅力、重みが感じられます。
香川県は年中通して温暖で、平野部は雪もほとんど降りません。雨も少ないので、穏やかな日々に心が癒されます。
讃岐山脈のおかげで、台風も直撃しにくいらしく、災害に強い都道府県ランキングでは第3位。
今後30年以内に震度6以上の地震が起こる確率は高いと言われていますが、その他の災害にはめっぽう強そうです。
平家物語ゆかりの地を見下ろせる「談古嶺」からの瀬戸内海。街あり瀬戸内海ありの美しい土地
香川県の名物といえば、安くてうまい讃岐うどん!私は1人旅で訪れた際、6食連続でうどんを食べたほど…
うどん店は県内の至る所にお店があります。そしてそのうどん店でもしばしば置いてある骨付鳥も美味しい。専門店もあるほど。
また、小豆島には高松市からフェリーで約1時で行けます。
小豆島も名産の宝庫、日本3大そうめんの手延べそうめん、オリーブ、しょうゆなど、たくさんの美味しいグルメにありつけるんです。
そう、瀬戸内海にはたくさんの島々が浮かんでいて、とくにアート、小豆島のような名産品が溢れていて、本当に飽きない!
小豆島のエンジェルロード。高松港から1時間フェリーに乗れば、こんな美しい景色に。
雇用の面では、香川県の上場企業は2021年時点で16社。
有効求人倍率は1.51と全国4位。人手が少ないとも言えますが、比較的就職しやすいと言えます。
私は機械系の設計者でしたが、香川県はそういった電器・機械系の大手企業はあまり多くないようです。
ただWeb系、SE、機械・電器など技術系の職もそれなりに求人は揃っています。
実は私の後輩で、機械設計者から転職で香川県の醤油職人になった人もいます。魅力ある風土で、第二のキャリアを築くというのも夢がありますね!
香川県の有名企業(施設概要/業種/上場区分))
穴吹興産(本社/不動産/東証一部)
四国電力(本社/電力ガス/東証一部)
タダノ(本社/機械/東証一部)
セーラー広告(本社/サービス/JASDAQ)
セカンドストリート(本社/小売/非上場)
農業や食に興味がある方なら、小豆島でオリーブ栽培したり、そうめん作りをしたり、独自路線で食っていけるかも!?
将来を見据えて好きな場所で暮らしてみてはいかがでしょうか?
上の写真は美しい南国・・・ではなく、実は静岡県富士市です。ここも私が好きな土地ですが、災害面でリスクが高いため、今回のおすすめには入りませんでした(災害を除けばものすごく良い場所です)
ただ、災害リスクが高い地域が必ずしも全域で危険とは限りません。逆に、安全そうな県でも危険な地域はある。
実際、上の静岡県富士市でも、ハザードマップを見ると安全そうな場所もあるのです。
今回ご紹介した場所は、おすすめの地方移住先としてとてもバランスの良い場所。
でも人によって好みや、大切にしたいポイントも変わってきます。
あなたが何に重点を置いて生活したいか、思い描きながら転職移住先を探してみてはいかがでしょうか?