「東証一部の〇〇に勤めてます」「僕、私は〇〇に就職が決まって…一応日経225の企業で」
ひと昔前なら、こんな言い回しの会社自慢(又は家族の自慢)を聞いたことがある方もいるかもしれません。
確かに東証一部(2022年4月4日以降は東証再編のため、同様の位置付けとして東証プライムになりました)、日経225というと日本を代表するような企業。私は転職で日経225企業を2社経験したので、実際に中で感じたこと、実情をお話したいと思います。
日経225企業はどんなもの?
まず日経225企業についておさらい。
「東京証券取引所第一部上場銘柄のうち、市場を代表する225銘柄」
日本の株式市場を代表する東証上場銘柄のなかでも、特に代表として選ばれた225社、という理解でいいと思います。
日本取引所グループによると、2023年8月の時点で東証プライムに上場している企業は1834社、その中の225社と聞くと選りすぐりな感じもありますよね。
具体的な企業としては、
トヨタ自動車、東京エレクトロン、ソニー、ファーストリテイリング、伊藤忠商事、ソフトバンク など
誰もが知っている企業も多いです。
これらの企業は毎年各方面の就職人気ランキングにも名を連ねています。それだけ世間には魅力的に見えているのかもしれません。
では、実際のところはどうなのでしょうか?
安心感と信頼性は高い
私は自動車業界、電気業界の日経225企業を経験しました(普段あえて”日経225企業”なんて言いことは少ないですが、話の流れでそう呼びます)
そういった企業にいると、他の日経225企業からもたくさんの転職者がいます。
そのため、自分で感じ、体験した印象、転職者から聞いた印象と様々な生きた情報を入手することができました。
ということで、ここでは私の体験や転職者の情報を元にお伝えしたいと思います。
基本的に、日経225に採用される企業というのは抜群の安心感があります。
安心感って何よ?というと、
・倒産する可能性が比較的低い
・給与が安定、ボーナスも多く出る傾向
・福利厚生が充実している
といったところです。
売上規模、従業員数、知名度など、色んな項目においては日本のトップクラスの企業であることは間違いありません。
「ここで働いておけば、まあ大丈夫だろう」
そう思える安心感、安定感があります。
それから信頼性。
とくに、お金を借りるときにその信頼性を感じます。
住宅ローンを借りるにしても、
「〇〇社さんなら問題ありません」「特別にこの金利で・・・絶対に口外しないでくださいね」
なんて銀行のローン担当者から言われたり。
日本では良くも悪くも「大手企業の社員」というだけで社会的信用が高いのです(人間性はどうであっても)
ご近所さん、ママ・パパ友のお付き合いなんかでも、
「旦那・奥さんはどこに勤めてるんですか?」
「〇〇社(大手企業)です」
「ええー、すごいですね!賢いんですね!」
なんてよく言われることです(決して本人がすごい訳じゃなくでも)
そう、大手企業に勤めているというだけで、その会社の「看板」を背負えるんです。
逆に言うと、その大手企業を辞めて看板をヨッコラショと下ろしたとき、その効力はほとんど消え去ってしまうのです笑
よく大手企業に勤めている方で「自分がすごい」と勘違いしてしまう方がいますが、すごく映っているのは会社です。その点は要注意。
とにかく、大手企業という安心感、信頼感は、”いまのところ”はまだ抜群です。
仕事が楽しいかは結局社風や人次第
さて大手企業、日経225企業の仕事はどんなものでしょうか?
結論から言うと当然ながら、大手企業、日経225だとしても、社風、部署、周囲の人次第で全く変わります。
そう言う意味では、中小企業や中堅企業と似たような雰囲気だったり、もう部署の数だけ雰囲気も違う、やりがいも仕事の数だけ違います。
私は社員600名ほどの中堅企業も経験しており、大企業のときと同じ職種(機械設計)を担当していました。そのときの経験から言っても仕事の内容的には、会社の規模がどうであれそんなに変わらなかったです。
もちろん、仕組み、リソース(ヒト、モノ、カネ)、信頼性なんかは差が出てきます。仕事の流れとしてはそんなに変わらない、という感じ。
人がたくさんいる分、大手企業の方が分業が進んでいる傾向です。そのため、例えば車を開発している会社だとすると「ドアミラーのことは詳しいけど、エンジンのことは全くわかりません」という人が多いです(製品の規模、サービスの種類にもよりますが)
そして傾向としては、日経225企業ともなると資金力があるため、大きなお金を動かすプロジェクトがやりやすいです。
個人や中小企業で数十億単位のお金を動かす経験はなかなか無いですよね?
資金力のある大手企業はそういったこともザラにあります。
それから、健康経営、ホワイト企業といったキーワードだったり、社員のウェルビーイングを大切に!なんて掲げている企業は、大手企業が多いです。
基本的には、ブラック企業・組織は少なめ、働きやすさを大事にしてくれるところが多いのが日経225企業と言えます。
ただしあくまで「傾向」。日経225企業とはいえブラックな体質の会社、部署は存在します。
そしていくら大きい組織でも、嫌な人、仕事のできない人は一定数いるのが現実。
ということで、仕事が楽しいか・楽しめるかは、会社の規模や名前よりあなたの希望やスキルとのマッチング、の方が大切だと思います。
大手企業にもダメ社員はいる
大手企業は、基本的には入社のハードルが高いです。どうしても学歴や社歴が物を言う…ような風潮は未だにありますので、それなりにふるいにかけられた人が入社してきます。
人間界の摂理かもしれませんが…それでも一定数はダメな人、嫌な人、パワハラする人、最悪は犯罪を犯す人はいるのです。
人間の集まりとは、どんな組織でも一定数は「良く無い人」がいるというのが、社会学やら過去の統計的な情報でも言われています。
実際に私の周りであった事故・事件(日経225の企業で)では、
・飲酒運転
・同僚の飲み物に、身体に害のある物を混入させた犯罪
・パワハラ、モラハラ
などがありました。毒物混入などは言語道断ですが、飲酒運転、パワハラをはじめとするハラスメント行為もなかなか撲滅できないのが現実です。
それから、休憩ばかりしている人、会社で私用にネットサーフィンしてる人、だらだら仕事(わざと)して残業代を稼ぐ人。結構多いです。
私は中堅企業で15名規模の部署に所属したあと、大手企業に転職して100名規模の部署に所属になりました。
でも「前の小さい会社の部署の方が尊敬できる人が多かった」と思ったのです。
昨今の日経225銘柄に「ゾンビ企業」と揶揄される残念な企業が多いのも、もしかしたらこのような残念な人を量産している文化からきているかもしれません。
これは一概に全ての会社に当てはまるわけではないですが、会社の規模によって人の良し悪しは左右されない、ということ。
たくさん人がいて、そこで合う人を探すのも良し。小さい組織で、みんなと一丸になって働くのも良し。
結局は出会い、そして考え方1つです。
家庭がある、子どもがいるなら大手企業は強い!
家庭、とくに子どもがいる人には、大手企業はとてもおすすめできます(あくまで傾向として、ですが)
私は子どもが2人いて、核家族。夫婦で力を合わせて家事育児しないと成り立たない家庭です。
大手企業はフレックス勤務が整っていたり、育児休暇がとりやすかったり、日経225企業ともなると家事サービスや育児サポートの福利厚生だってあったりします。
もっとも、福利厚生が充実しているのは日経225企業に関わらず、特に東証プライムに上場しているような企業なら充実している傾向だと言えますが。
私は以前働いていた中堅企業を辞めた一番の理由は「フレックス勤務じゃなかった」こと。
妻が入院して、育児ができなくなったのです。あのときフレックスであれば、子どもの幼稚園の送り迎えもできたのに・・・
ウィズコロナの状況では、一気に在宅、テレワーク化も進みましたね。
しかし残念ながら、テレワーク化が進んでいるのは主に大手企業からです。
テレワーク中の育児は禁止、というところが多いとは思いますが、それでもテレワークができるというだけでありがたかったりします。
「今日は午後からPTAだから、午後だけ在宅できる?」
なんて夫婦感のお願いも叶いやすい。
また、大手企業は健康保険組合が強いことも、私は身を持って感じました。
妻が病気になって手術したときは、法律で定められている法定給付額に加え「付加給付」も支給されたのです。
ざっくりの例ですが、妻の場合入院手術で17万円かかりましたが、法廷給付8万円、付加給付5万円。つまり13万円ほどが戻ってきました。
医療保険に入っていなくても、公的保険+健康保険組合の制度でかなりバックがあるのが、大手企業ならではではないでしょうか。
子育て(または介護)している人には、日経225企業、大企業はおすすめできる会社が多いと言えます。
就職・転職先は「何を譲れないか」で決めよう
まとめると、日経225企業は
・給料、処遇などの安心感、信頼性(世間体)は高い
・仕事が楽しいか、やりがいがあるか、はその職場や運しだい
・スペックの高い人は多い傾向だが、ダメな人も一定数いる
・「ゾンビ企業」と揶揄される残念な企業もある
・子育て家庭にとってはメリットが多い
といった感じです。以下のような考えを持っている人なら、日経225企業はおすすめできます。
・世間体や信頼性は大事
・給料は安定していてほしい
次のような考えの人なら、別に日経225企業にこだわる必要はありません。
・世間体より自分の納得感や、やりたい事が大事
・いろんな仕事を裁量を持ってこなしたい
それからここまで「日経225」にこだわって書いておいて何ですが…「東証プライム」に上場している企業であれば、日経225に組み込まれていない企業でも概ね似たような傾向があると考えられます。
ただし、2016年には経営不振のシャープ、2017年には不正会計の東芝が日経225企業から除外となったことが有名なように、日経225に採用されているということはそれなりに理由もあると言えます。
私の結論としては、ぜひ会社の規模には囚われずにやりたいことをやってください!という言葉でしめくくりたいと思います。